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全米州司法長官、AI規制10年間禁止案に結束して反対

超党派の40州司法長官連合が、州レベルでのAI規制を10年間禁止するという共和党の提案に強く反対している。この措置は、下院で僅差で可決された予算調整法案に盛り込まれており、カリフォルニア州、コロラド州、ニューヨーク州などの既存の州AI法を無効化するものだ。司法長官らは、連邦議会が必要な規制を整備できていない現状で、この措置が米国民をAIによる潜在的な被害から無防備にすると主張している。
全米州司法長官、AI規制10年間禁止案に結束して反対

党派を超えた全米の州司法長官が、州レベルでのAI規制を10年間停止するという物議を醸す条項に対して反発を強めている。

この条項は、5月22日に下院で215対214の僅差で可決された「One Big Beautiful Bill Act(ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法)」予算調整パッケージの一部であり、今後10年間、各州が人工知能システムを対象とした法律を施行することを禁じる内容となっている。もし成立すれば、AI生成のディープフェイクや医療分野でのAI利用、同意のないわいせつ画像の生成などに対応するカリフォルニア州の既存法をはじめとする州AI規制が無効化される。

「このモラトリアム(規制停止)は、企業が意図的に予見可能な被害をもたらすアルゴリズムを設計した場合であっても、違法性や被害の深刻さにかかわらず、その企業は立法府や市民に対して責任を問われなくなることを意味します」と、司法長官らは共同書簡で訴えている。

この提案は、政治的に異例の連携を生んでいる。Googleをはじめとする大手テック企業は「国家安全保障を守り、米国のAIリーダーシップを維持するための重要な第一歩」として支持している一方で、民主党のみならず一部の上院共和党議員からも反対の声が上がっている。テネシー州選出のマーシャ・ブラックバーン上院議員(共和党)は、自身の州でアーティストをAIディープフェイクから守るELVIS法が無効化されることに懸念を示した。

推進派は、このモラトリアムによって州ごとのバラバラな規制が生まれるのを防ぎ、連邦議会が包括的なAI法制を整備する時間を確保できると主張している。Rストリート研究所のアダム・シーラー氏は、同案を最初に提案した人物であり、「イノベーターに一定の猶予を与える賢明な方法だ」と議会で証言した。

この措置の行方は依然不透明だ。今後は上院で予算調整手続きを経る必要があり、「バード・ルール」と呼ばれる規定が、予算と直接関係のない条項を排除する障壁となる可能性がある。一方、州議会レベルではAI関連法案の動きが活発化しており、2025年には48州でAI法案が提出され、26州で少なくとも75の新たなAI規制がすでに成立している。

Source: Pymnts

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