カプジェミニによるWNSの買収は、急速に進化するAIコンサルティング市場における大規模な再編を象徴している。大手テクノロジー企業は、AI能力を拡張するために自社開発ではなく戦略的買収を選択する傾向が強まっている。
この33億ドルの全額現金取引により、カプジェミニのコンサルティング主導のアプローチと技術力が、WNSの深い業界知識と業界特化型AIソリューションと融合する。WNSは世界64拠点に6万4,500人以上のプロフェッショナルを擁し、ユナイテッド航空、アビバ、コカ・コーラなど600社超のクライアントにサービスを提供している。
カプジェミニCEOのアイマン・エザット氏は「企業はジェネレーティブAIやエージェンティックAIを急速に導入し、業務全体の変革を進めている。ビジネスプロセスサービスはエージェンティックAIのショーケースとなるだろう」と述べている。今回の買収により、カプジェミニは伝統的なビジネスプロセスサービスからAI駆動型インテリジェントオペレーションへの転換という新たな戦略的機会を捉えるための規模と業界専門性を獲得する。
WNSは過去3年間で約9%の恒常為替ベースの売上成長を記録し、2025年度には売上高12億7,000万ドル、営業利益率18.7%に達した。統合後の新会社は、年間売上高233億ユーロ、営業利益率13.6%を見込んでいる。
この取引はカプジェミニの売上成長と営業利益率に即時にプラス効果をもたらすとされ、シナジー効果を反映した2026年の1株当たり利益は4%、2027年には7%増加する見通し。年間売上シナジーは1億~1億4,000万ユーロ、2027年末までにコスト削減効果は5,000万~7,000万ユーロと試算されている。
今回の買収は、AIコンサルティング市場全体で進む再編の流れを反映している。同市場は2034年までに年平均成長率21%超で拡大すると予測されており、企業がAI主導の変革を支援する戦略的パートナーを求める中、テクノロジーコンサルティング企業は有機的成長よりも戦略的買収によって包括的な能力構築を急いでいる。