シスコシステムズは人工知能(AI)ブームを追い風に、AIインフラ受注の大幅な増加を受けて2025年度の業績見通しを上方修正した。
5月14日に発表した2025年度第3四半期決算によると、同四半期にウェブスケール顧客から6億ドル超のAIインフラ受注を獲得し、年初来の累計受注額は10億ドルを突破。これにより、AIインフラ受注に関する通年目標を前倒しで達成した。
エドワード・ジョーンズのテクノロジーアナリスト、デビッド・ヘガー氏は「シスコはクラウドデータセンター向けスイッチ市場での地位を強化した」と指摘。同社のイーサネットスイッチやルーターなどの製品は、テクノロジー大手が生成AIアプリケーションに必要な計算能力を支えるため、データセンター投資を拡大する中で恩恵を受けている。
シスコは2025年度の売上高見通しを従来の560億〜565億ドルから、565億〜567億ドルに引き上げた。また、調整後1株当たり利益(EPS)も従来の3.68〜3.74ドルから3.77〜3.79ドルに上方修正した。
経営陣の大きな異動として、最高財務責任者(CFO)のスコット・ヘレン氏が7月に退任し、現チーフストラテジーオフィサーのマーク・パターソン氏が7月27日付でCFOに就任することも発表。パターソン氏はシスコ在籍23年のベテランで、これまでCEOチャック・ロビンズ氏のチーフ・オブ・スタッフとして全社戦略や横断的なプロジェクトを主導してきた。
第3四半期の売上高は141億5000万ドルとなり、アナリスト予想(140億8000万ドル)を上回った。発表後、株価は時間外取引で2%上昇。第4四半期については、売上高を145億〜147億ドルと見込んでおり、拡大するAIインフラ市場での成長基調を維持する構えだ。