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地政学的逆風にもかかわらず、世界のAIサーバー成長率は24.3%を記録

トレンドフォースが7月10日に発表した分析によると、2025年の世界AIサーバー出荷台数は24.3%増加する見通しです。米国の輸出規制や地政学的緊張の影響で、従来予測をやや下回るものの、北米のクラウドサービスプロバイダーが引き続き市場成長を牽引しています。一方、欧州や中東でのソブリンクラウド構想も新たな需要源として台頭。GoogleのTPU v6e推論チップは2025年前半に主流となり、特に東南アジアのデータセンターで採用が進んでいます。
地政学的逆風にもかかわらず、世界のAIサーバー成長率は24.3%を記録

2025年、世界のAIインフラ市場は力強い成長を続けているものの、地政学的な圧力により地域ごとに展開戦略が見直され、やや成長が抑制されています。

トレンドフォースの報告によれば、北米の主要クラウドサービスプロバイダー(CSP)がAIサーバー市場成長の主な原動力となっています。中東や欧州でのソブリンクラウドプロジェクトや、ティア2データセンターによる安定した需要も市場を下支えしています。北米CSPおよびOEM顧客からの継続的な需要により、2025年の世界AIサーバー出荷台数は2桁成長を維持する見通しです。ただし、中国市場への米国の輸出規制や地政学的緊張の影響で、トレンドフォースは予測をやや下方修正し、2025年の世界AIサーバー出荷台数は前年比24.3%増と見込んでいます。

Googleは、ソブリンクラウド構想や東南アジアでの新たなデータセンター完成により、サーバー需要が大きく増加しています。「GoogleはAI推論向けTPU v6eチップの大規模展開を開始しており、2025年前半には主流となっています」と報告書は述べています。

Amazon Web Services(AWS)は自社開発のTrainium v2プラットフォームの拡張に注力し、2026年量産予定のTrainium v3の複数バリアントも開発中です。AWSは今年、米国CSPの中で自社製AIチップ出荷台数でトップとなり、2024年の2倍に達する見込みです。

「Oracleは他の主要CSPと比べ、AIサーバーやインメモリデータベース(IMDB)サーバーの購入に注力しています。2025年、OracleはAIサーバーインフラの導入を強化し、コアとなるクラウドデータベースサービスとAIアプリケーションの統合を進める計画です。米国でのソブリンクラウドプロジェクトへの対応として、NVIDIAのGB Rack NVL72ソリューションの需要も増加しています」とトレンドフォースは指摘しています。

中東地域は、AIハブ構築への積極的な取り組みにより、新たなソブリンクラウド拠点として急速に台頭しています。2月にはGoogle Cloudがアクセンチュアと提携し、サウジアラビアでのソブリンクラウドおよび生成AIソリューションの導入加速を発表。同月、stcグループはSambaNovaと協力し、国内向けAI専用のソブリンクラウド構築に着手しました。さらに3月には、マイクロソフトがCore42と提携し、アラブ首長国連邦アブダビ政府向けのソブリンクラウド構築を進めています。

「加えて、多くのサーバー企業OEMは、最近の国際関税政策の変化を受け、2025年後半の市場戦略を再評価しています。現時点でトレンドフォースは、汎用サーバーとAIサーバーを含む全体のサーバー出荷台数が前年比約5%増となると予測しており、これは従来予想と一致しています」と報告書は結論付けています。

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