Googleは、Gemini 2.5 Pro Deep Thinkおよび新たなプレミアムサブスクリプション「Google AI Ultra」の導入により、AIエコシステムを大幅に拡充した。
Gemini 2.5 Pro Deep Thinkは、AIの推論能力における大きな進化を示している。この強化モードは、並列思考技術を活用し、応答前に複数の仮説を同時に検討することで、複雑なタスクにおいて卓越したパフォーマンスを実現する。Google DeepMindのCEOであるデミス・ハサビス氏によれば、Deep Thinkは「モデル性能を極限まで引き上げる」ものであり、2025年USAMO数学コンテスト、LiveCodeBench(コーディング)、MMMU(マルチモーダル推論)などの難易度の高いベンチマークで優れたスコアを記録しているという。
この技術的ブレークスルーに合わせて、Googleはサブスクリプション体系も刷新した。従来のAI Premiumプランは「Google AI Pro」(月額19.99ドル)へとリブランドされ、さらに最上位の「Google AI Ultra」(月額249.99ドル)が新たに追加された。現在は米国で提供されており、今後70カ国以上への展開が予定されている。AI Ultraは、Googleが「最先端AI技術へのVIPパス」と位置付けるサービスだ。
Ultraサブスクリプションには、Deep Thinkモード搭載のGemini 2.5 Pro、先進的な動画生成を実現するVeo 3、AI映画制作ツールのFlow、Project Marinerによるコンピュータ利用機能などが含まれる。さらに、30TBのクラウドストレージとYouTube Premiumのサブスクリプションも付与される。Googleはこのプランを「先駆者やパイオニア」、特に映像制作者、開発者、研究者、クリエイティブ分野のプロフェッショナル向けに提供している。
また学生向けには、2025年6月30日までに登録した18歳以上の対象学生に対し、2026年の期末試験まで「Google AI Pro」を無料で提供することも発表された。
これらの動きは、GoogleがAIの進化を収益化しつつ、OpenAIの月額200ドルのChatGPT Proプランなど他のプレミアムAIサービスと競争する戦略を反映している。AI技術が急速に進化する中、Googleの最新サービスは、同社を技術革新とプレミアムAIサービスの最前線に押し上げるものとなっている。