Googleは、最新のAIモデル「Gemini 2.5 Flash」をGeminiアプリを通じて全ユーザーに提供開始し、AI機能の大幅な進化とセキュリティ強化を実現しました。
新たな2.5 Flashモデルは、推論・マルチモーダル・コード・長文コンテキストの各ベンチマークで性能が向上し、評価時のトークン消費も20〜30%削減されるなど効率性も高まっています。開発者向けにはGoogle AI Studio、企業向けにはVertex AIで6月上旬より一般提供が予定されており、さらに高性能な2.5 Proも間もなく登場予定です。
2.5 Proの目玉機能となるのが「Deep Think」です。これは、非常に複雑な数学やコーディングタスク向けに設計された実験的な強化推論モードであり、モデルが応答前に複数の仮説を検討できる新しい研究技術を活用しています。Googleによれば、2025年のUSAMO数学テストのような難易度の高いベンチマークでも優れたスコアを記録しています。
今回のリリースではセキュリティも大きく強化されています。Google DeepMindは、AIモデルが取得するデータ内に悪意ある指示が埋め込まれる「間接的プロンプトインジェクション攻撃」への高度な防御策を導入。自動レッドチーミングや敵対的ファインチューニングを通じて、ツール利用時の攻撃防御率を大幅に向上させ、Gemini 2.5は同社史上最も安全なモデルファミリーとなりました。
また、Project Marinerのコンピュータ利用機能がGemini APIおよびVertex AIに追加され、AIがウェブブラウザを観察・操作してタスクを実行できるようになりました。これにより企業向けの新たな応用が期待されており、Automation Anywhere、UiPath、Browserbaseなど複数の企業がすでに活用を検討中。今夏には開発者向けの実験的な提供も予定されています。
開発者向けには、Gemini APIおよびVertex AIでモデルの推論過程を可視化する「思考サマリー」機能を導入。さらに2.5 Proでは「思考バジェット」の拡張により、応答前にどれだけ処理を行うかを開発者がより細かく制御できるようになります。