Googleは、AI機能の拡充を目指し、Gemini 2.5 Flashの一般提供に続き、6月上旬に「Gemini 2.5 Pro」をリリースする予定だ。
同社は最近、Gemini 2.5 FlashがすでにGeminiアプリを通じて全ユーザーに提供されていることを発表した。さらに、両モデルは数週間以内に開発者向けのGoogle AI Studioや企業向けのVertex AIでも本格的に利用可能となる。この展開は、GoogleのAIサービスにおける大きな進化を示している。
今後登場する「Gemini 2.5 Pro」の注目機能は、「Deep Think」と呼ばれる実験的な強化推論モードだ。これは、極めて複雑な数学的・コーディング課題に特化して設計されている。Google DeepMindによると、Deep Thinkは最先端の研究技術を用い、回答前に複数の仮説を検討できる。すでにこの手法は、2025年のUSAMO数学コンテストや競技プログラミングのLiveCodeBenchなど、難易度の高いベンチマークでトップスコアを記録している。
セキュリティもGemini 2.5シリーズの大きな焦点となっている。Googleは、ツール利用時の間接的なプロンプトインジェクション攻撃に対する防御を大幅に強化した。こうした攻撃は、AIモデルが取得するデータ内に悪意ある指示が埋め込まれることで発生する。Googleは、モデルの堅牢化、入出力チェック、システムレベルのガードレールを組み合わせることで、Gemini 2.5をこれまでで最も安全なモデルファミリーに仕上げた。
セキュリティや推論能力に加え、2.5 Proおよび2.5 Flashには、より自然な会話を実現するネイティブ音声出力、透明性を高める思考要約、Project MarinerによるPC操作機能などの新機能も搭載される。さらにPro版では、開発者がモデルの計算リソースを制御できる「思考予算」の設定も可能となる。
GoogleはDeep Thinkの一般公開にあたり慎重な姿勢を取っており、追加の安全性評価や専門家からの意見収集を進めている。まずはGemini APIを通じて信頼できるテスターに限定公開し、フィードバックを集める方針だ。
このリリースにより、GoogleはAI分野での急速なイノベーションを継続しており、Gemini 2.5 Proはすでに推論能力、マルチモーダル対応、コード生成、長文コンテキスト理解など複数のベンチマークでリードしている。