OpenAIは、強力なAIをより手軽かつコスト効率良く利用できるようにする大きな進歩として、最新の推論特化型AIモデル「o3-mini」を正式リリースしました。
2024年12月に初公開され、2025年1月にローンチされたo3-miniは、特にSTEM(科学・数学・プログラミング)分野向けに最適化されており、科学・数学・コーディングタスクで高いパフォーマンスを発揮します。このモデルは「チェーン・オブ・ソート」技術を採用し、回答前に思考を巡らせて段階的に問題を分析し、より正確な解答を導き出します。
従来のパターン認識型言語モデルとは異なり、o3-miniは「シミュレーテッド・リーズニング(模擬推論)」を取り入れ、応答前に内部的な思考プロセスを一時停止し熟考することが可能です。このアプローチにより、o3-miniは前世代のo1-miniと比べて、現実世界の複雑な問題に対する重大な誤答を39%削減し、応答速度も24%向上しました。
また、推論の深さを「低・中・高」の3段階から選択でき、複雑な課題には処理能力を、時間重視の用途には速度を優先するなど、用途に応じた最適化が可能です。ベンチマークテストでは、o3-mini(高設定)がAIME数学推論テストで87.3%の正答率を記録し、o1-miniやフルo1モデルを複数の主要指標で上回りました。
価格面でも大きな強みがあり、o3-miniはo1-miniより63%安価な、100万キャッシュ入力トークンあたり0.55ドル、出力トークンあたり4.40ドルで提供されます。この競争力のある価格設定により、先進的なAI推論があらゆる規模の開発者や企業にとってより身近なものとなります。
o3-miniは全てのChatGPTユーザーが利用可能で、無料プランでは利用回数に制限がある一方、有料プランではより多く利用できます。ChatGPT PlusおよびTeamユーザーは1日150メッセージまで、Proユーザーは無制限で利用可能です。開発者向けにはOpenAIのAPI経由で統合でき、用途に応じて推論の深さもカスタマイズできます。
2025年6月時点では、o3-miniに加えて4月リリースのフルo3モデルや、今月初めに登場したより高性能なo3-proなど新モデルもラインナップに加わっていますが、o3-miniは依然としてパフォーマンス・速度・コスト効率のバランスを重視するユーザーにとって価値ある選択肢となっています。