OpenAIは、強力な能力と効率性・経済性を両立した推論モデル「o3-mini」を正式にリリースしました。
この新モデルは2024年12月に初めてプレビューされ、精度と速度が求められる技術分野向けに最適化されています。OpenAIのベンチマークによれば、o3-miniは前モデルのo1-miniと比較して、複雑な実世界の質問に対する重大な誤答を39%削減し、応答速度も約24%向上しています。
o3-miniの大きな特徴は、適応的な推論能力にあります。ユーザーは「低」「中」「高」の3段階から推論の深さを選択でき、タスクの複雑さに応じてモデルの「思考」プロセスを調整可能です。この機能により、開発者は精度と応答速度のバランスをニーズに合わせて最適化できます。
特にSTEM分野での応用に強みを持ち、プログラミング、数学、科学的推論のベンチマークで優れた成績を示しています。推論深度を「高」に設定した場合、o3-miniはAIME(アメリカ数学招待試験)やソフトウェアエンジニアリングのベンチマークなど、いくつかのテストでフルサイズのo1モデルを上回る性能を発揮します。
価格設定もアクセシビリティを重視しており、o3-miniはo1-miniより63%安価な、100万キャッシュ済み入力トークンあたり0.55ドル、出力トークンあたり4.40ドルで提供されます。この競争力のある価格により、先進的なAI機能を求める企業にとっても魅力的な選択肢となっています。
o3-miniはOpenAIの各種製品で利用可能となり、企業での導入も加速が見込まれます。すべてのChatGPTユーザーがアクセスでき、プレミアム会員はより高い利用上限が設定されています。ChatGPT EnterpriseやChatGPT Eduの顧客も利用可能で、開発者はOpenAIのAPIを通じてo3-miniを統合できます。
2025年4月にo3およびo4-miniが追加されたことでOpenAIのモデルラインナップはさらに拡充されましたが、o3-miniは同社の「先進的なAI推論をより多くの人に、かつ能力・コスト・効率性のバランスを保ちながら提供する」というミッションにおいて、重要なマイルストーンとなっています。