S&Pグローバル(NYSE: SPGI)は、S&Pグローバル・マーケットプレイスにてAI対応メタデータプラットフォームを発表し、金融データのアクセス性を大きく進化させた。2025年7月17日に公開されたこの新サービスは、AI主導の金融業界において顧客のデータ発見・検索体験を強化するものとなっている。
本プラットフォームは、人間のアナリストとAIシステムの双方に即時アクセス・活用可能な機械可読メタデータ製品を提供する。「2025年に提供するAI対応イノベーションは、従来のデータ提供を超えた変革的な価値を体現し、顧客へのサービスの根本的な転換点となる」と、S&Pグローバルのチーフ・エンタープライズ・データ・オフィサー兼S&Pグローバル・マーケットインテリジェンス社長のサウガタ・サハ氏は述べている。
無償ライセンスで提供されるAI対応メタデータは、AIや分析用途における価値実現までの時間を大幅に短縮する機械可読なコンテキストを付与する。初期リリースでは、S&Pグローバル・マーケットインテリジェンスの経済データ、ファンダメンタルズ、クロスリファレンス、OTCデリバティブ、ローンプライシング、保険、テキスト情報などのデータセットが含まれている。
本プラットフォームは拡張性と認証不要性を備えて設計されており、自動化システムやエージェント型ワークロードによる容易な利用を可能にする。ベンダーニュートラルなアプローチにより、顧客が選択したクラウドデータプロバイダーにおいて、データセットのカラムレベルでの機械可読性を強化。現在はSnowflake経由で利用可能で、今後さらに配信チャネルが拡大される予定だ。
この取り組みは、単なるデータ提供ではなく、データを即時に活用可能な形で提供することが価値の源泉となる市場環境の変化にS&Pグローバルが適応していることを示すもの。データセットに豊富なコンテキストを直接組み込むことで、S&Pグローバルは単なるデータベンダーを超え、金融業界の自動化分析・意思決定プロセスの加速に寄与するAI主導インサイトの実現を支援する存在へと進化している。
この動きは、S&Pグローバルが進める他のAI施策とも連動しており、最近ではAnthropic社と連携し、同社のAIアシスタント「Claude」に金融データを統合。金融専門家が自然言語でデータセットにアクセスできるようにしている。新しいAI対応メタデータへのアクセスは、marketplace.metadata.spglobal.comから可能だ。