パイパー・サンドラーは、音声AI技術のリーダーであるSoundHound AI(NASDAQ:SOUN)に対し、オーバーウェイト評価と12ドルの目標株価を付与し、直近の取引水準から大きな上昇余地があるとしています。
アナリストのジェームズ・フィッシュ氏とケイデン・ダール氏は、SoundHoundのAI分野における戦略的ポジションに注目。「SoundHoundの音声AIプラットフォームは、AI革命の直接的な恩恵を受けるものだ」と述べ、同社の自動音声認識(ASR)と自然言語処理(NLP)を組み合わせたアーキテクチャが大きな競争優位性であると指摘しました。
このカバレッジ開始のタイミングは、SoundHoundが2025年第1四半期に前年比151%増の2,910万ドルという著しい成長を報告した直後です。同社は2億4,600万ドルの現金を保有し、無借金経営を維持しており、今後のさらなる成長に向けた強固な財務基盤を持っています。
SoundHoundの技術は複数の分野に展開されており、特にクイックサービスレストラン(QSR)やカスタマーエクスペリエンス(CX)分野で有望な機会が広がっています。2024年のAmelia買収により、同社はコンタクトセンター向け会話AI市場にも参入。パイパー・サンドラーは、この分野のアドレッサブル市場規模が2027年までに300億ドルに達すると予測しています。全体では、2027年までに全ユースケースで470億ドルのサービス可能市場が見込まれています。
また、SoundHoundはサブスクリプションモデルへの移行を進めており、2027年にはサブスクリプションおよび継続型収益が全体の約90%を占める見通しです。この転換とAmelia買収によるシナジー効果により、今後数年で利益率が10%以上向上する可能性があるとパイパー・サンドラーは分析しています。
一方で、SoundHoundは自動車分野での課題にも直面しています。主要な自動車OEM4社の今年の販売台数は4%減少する見込みで、関連収益への影響が懸念されています。それにもかかわらず、SoundHoundは2025年通期の売上高見通しを1億5,700万~1億7,700万ドルと再確認し、事業の多角化と音声AI技術分野での成長軌道に自信を示しています。