新興テクノロジーに対する連邦政府の権限に大きな挑戦を突きつける形で、超党派の40州司法長官グループが金曜日、今後10年間にわたり州による人工知能(AI)規制を禁じる共和党の提案に反対する書簡を議会に送付した。
この措置はドナルド・トランプ大統領の減税法案に盛り込まれており、成立すれば全米の州レベルのAI規制が即座に無効化される。「議会がこの分野で何ら対策を講じない中、州による一切の行動を広範に停止するのは無責任であり、消費者から合理的な保護を奪うものだ」と連合は書簡で述べている。
このグループには、オハイオ州、テネシー州、アーカンソー州、ユタ州、バージニア州の共和党司法長官や、カリフォルニア州、ニューヨーク州などの民主党司法長官が名を連ねている。特にサウスカロライナ州のアラン・ウィルソン司法長官(共和党)は強く批判し、「AIは大きな可能性と同時に大きな危険ももたらす。サウスカロライナ州は市民を守るために懸命に取り組んできた。今、議会は具体的な解決策を示すどころか、我々の手を縛り、ワシントンから一律の命令を押し付けようとしている。これはリーダーシップではなく、連邦政府の越権行為だ」と語った。
カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は、この禁止措置によって自州が導入してきた重要な消費者保護策が失われると強調。具体的には、政治広告におけるAI生成ディープフェイクの禁止、医療機関がAIシステムと患者がやり取りする際の通知義務、医師の監督なしに自動で医療の必要性を判断することの防止などが含まれる。
この条項は予算調整の一環として下院エネルギー・商業委員会で推進されたが、上院では手続き上の規則により盛り込まれない可能性もあり、先行きは不透明だ。グーグルなどの業界大手はこのモラトリアムを支持し、「国家安全保障を守り、米国のAIリーダーシップを維持するための重要な第一歩」と評価している。
この議論は、急速に進化するAI分野におけるイノベーションと規制の間の緊張の高まりを浮き彫りにしている。テック企業側は、州ごとの規制の乱立が開発や中国企業との競争力を損なうと主張する一方、州当局者は、連邦による代替策がないままモラトリアムが実施されれば、すでに米社会を変革しつつあるAIに対し危険な規制の空白が生じると警鐘を鳴らしている。