2025年5月23日に発表された画期的な契約により、オラクルはOpenAIの米国テキサス州アビリーンに新設されるデータセンター向けに、NVIDIAの最先端GB200チップを約400億ドル分購入することを約束した。
この巨大施設は、米国のAI競争力を強化するために主要AI企業が主導する総額5,000億ドル規模の「スターゲート・プロジェクト」の中核を成すものだ。フィナンシャル・タイムズによれば、オラクルはNVIDIAの最強AIプロセッサー約40万個を購入し、その計算能力をOpenAIに貸与する。オラクルはこの施設に対し、15年間のリース契約を結んでいる。
この動きは、OpenAIのインフラ戦略における大きな転換点となる。業界アナリストは「アビリーン・データセンターは、OpenAIがマイクロソフトへの依存度を下げるための重要な一歩だ」と指摘している。OpenAIとマイクロソフトは最近、AI企業の計算需要がマイクロソフトの供給能力を上回ったことから、独占契約を解消したばかりだ。
オラクルにとっても、この提携はクラウドコンピューティング分野の強化と、マイクロソフト、アマゾン、グーグルといった市場リーダーに対抗する戦略的チャンスとなる。データセンターは2026年半ばに本格稼働し、OpenAIがより高度なAIモデルの学習・運用に必要な膨大な計算リソースを提供する予定だ。
この契約は、AI計算能力を巡る世界的な競争が激化する中で成立した。NVIDIAのチップは高度なAIシステムの学習に不可欠であり、同社は2024年末に世界時価総額トップの座を奪還するなど、最も価値ある企業の一つとなっている。高性能AIチップへの需要は、世界中のテック大手や政府がAIインフラに巨額投資を続ける中、今後も急増が見込まれる。
米国施設に加え、OpenAI、オラクル、NVIDIAはアラブ首長国連邦(UAE)でもスターゲート・プロジェクトを共同推進している。UAEの新AIデータセンターではNVIDIAチップ10万個以上が使用され、2026年に第1フェーズが稼働開始予定だ。