テキサス州アービングに本社を置くVistra Corp.(NYSE: VST)は、人工知能(AI)ブームによる膨大なエネルギー需要を見越し、発電ポートフォリオの拡大に乗り出す。
フォーチュン500に名を連ねる同社は、2024年5月15日、Lotus Infrastructure Partnersから最新鋭の天然ガス発電施設7カ所を19億ドル(1キロワットあたり約743ドル)で取得する正式契約を締結したと発表した。
今回の買収には、5つのコンバインドサイクルガスタービン施設と2つのコンバッションタービン施設が含まれ、PJMインターコネクション(米東部13州)、ニューイングランド、ニューヨーク、カリフォルニアといった複数地域に戦略的に配置されている。この地理的な分散により、Vistraは主要な競争市場で拡大する電力需要に柔軟に対応できる体制を強化する。
Vistraの社長兼CEOであるジム・バーク氏は、「今後も米国の電力網の信頼性、経済性、柔軟性を維持する上で、天然ガス火力発電はますます重要な役割を果たすと確信しています。今回の魅力的なポートフォリオの追加により、Vistraは成長する電力需要に応えつつ、中二桁台のレバレッジドリターン目標を上回ることが可能になります」とコメントした。
この買収のタイミングは、国際エネルギー機関(IEA)がデータセンターの電力需要が2030年までに2倍になると予測する中、AIインフラの安定したエネルギー供給に最適な天然ガスなどのベースロード発電の重要性が高まっていることと合致する。2024年にS&P500で株価成長率トップ(200%超)を記録したVistraは、この潮流を捉え、データセンター開発業者との提携も積極的に進めている。
本取引は規制当局の承認を経て、2025年末から2026年初頭に完了する見通し。資金調達は現金とLotusから引き継ぐ既存タームローンの組み合わせで行われる予定。Vistraは、買収完了後初年度から1株当たり利益の増加など、株主への即時的なメリットが期待できるとしている。