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AIコミュニティ、NASA科学予算の歴史的削減に抗議の声

科学者やAI専門家は、2025年6月30日にワシントンD.C.のNASA本部前で抗議活動を計画している。これはトランプ政権が提案したNASA科学予算の47%削減案に反対するものだ。この削減案は、多くのAI活用型宇宙探査プロジェクトを脅かし、NASAの職員数も約3分の1減少する可能性がある。有人火星探査には予算が増額される一方で、批判者は「この大幅な削減は米国の宇宙技術およびAIイノベーションにおけるリーダーシップを深刻に損なう」と主張している。
AIコミュニティ、NASA科学予算の歴史的削減に抗議の声

科学界は、専門家が「アメリカ史上最大の単年度NASA予算削減」と呼ぶ動きに対して結集している。トランプ政権が提案した2026会計年度の予算案では、NASA全体の予算が24%減の188億ドルとなり、科学プログラムは壊滅的な47%の削減に直面する。

この削減により、著しい進展を遂げてきた数多くのAI活用型宇宙探査プロジェクトが打ち切られる見込みだ。犠牲となるのは、火星や他の惑星で探査車がリアルタイムで意思決定を行うための自律航行システム「AEGIS(Autonomous Exploration for Gathering Increased Science)」や「MLNav(Machine Learning Navigation)」など。また、パーシビアランス探査車による長年のサンプル採取にもかかわらず、NASAの「火星サンプルリターン」ミッションも終了することになる。

一方で、有人火星探査には10億ドルの増額がなされるが、月周回宇宙ステーション「ルナーゲートウェイ」などの重要インフラは廃止され、アルテミスIIIミッション後には「スペース・ローンチ・システム」ロケットや「オリオン」カプセルも退役予定となっている。人員削減も深刻で、NASAの職員数は17,391人から11,853人へと減少し、1960年代半ば以来最小規模となる可能性がある。

「もしこの予算が現実となれば、私が最も懸念するのは“人”です」と、ケック天文台主任科学者のジョン・オメアラ氏は語る。「ミッションはデータをもたらし不可欠ですが、そのデータは解釈し、理論を検証し、発見を世界と共有する人がいなければ無意味です。」

6月30日にNASA本部前で予定されている抗議活動は、これらの削減が新たな世界的宇宙開発競争、特に中国の野心的な宇宙計画に対し、米国の立場をいかに弱体化させるかを訴えるものだ。しかし、議会では超党派で削減に反対する動きもあり、NASAのAIプロジェクトに希望が残されている。テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出・共和党)はすでに科学プログラム向けに100億ドルの追加予算を提案しており、複数の議会事務所も「この予算案は最初から成立しない」と述べている。

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