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サムスンのAIチップ苦戦、利益56%急落に直結

サムスン電子は2025年第2四半期の利益が前年比56%減となり、AIチップの販売不振によりアナリスト予想を大きく下回った。同社は先進的なHBM3EメモリチップでNvidiaの認証を得られず、SKハイニックスなどの競合が急成長するAIハードウェア市場を席巻している。この大幅な利益減は、AI市場の成熟と需要変動の中で半導体業界が今後不安定化する可能性を示唆している。
サムスンのAIチップ苦戦、利益56%急落に直結

サムスン電子は2023年以来最悪となる四半期業績を発表し、2025年第2四半期の営業利益は前年比56%減の4兆6,000億ウォン(約33億6,000万ドル)となった。これはアナリスト予想の6兆2,000億ウォンを大きく下回る結果であり、AIチップ市場でのサムスンの苦戦が浮き彫りとなった。

世界最大のメモリチップメーカーであるサムスンは、利益減少の要因として在庫評価の調整や、米国による先端AIチップの対中輸出規制の影響を挙げている。しかし、業界アナリストはより根本的な問題として、AIチップ設計で圧倒的なシェアを持つNvidiaからの12層HBM3Eメモリチップ認証の遅れを指摘している。

高帯域幅メモリ(HBM)はAIコンピューティングの基盤として不可欠となっており、世界市場は2025年に210億ドル規模、年率70%で成長すると予測されている。かつてメモリ分野で圧倒的だったサムスンだが、現在はNvidiaのHBM供給網の約60%を握るSKハイニックスに後れを取っている。サムスンの先進HBM3Eチップの認証は2025年9月までずれ込む見通しで、競合に18〜24カ月の遅れをとる形となっている。

こうした逆風の中、サムスンは2024年6月からAMDのMI350X AIアクセラレータ向けにHBM3Eチップを供給するなど、代替戦略を模索している。また、年後半にはHBM3Eメモリの認証取得と主要顧客への本格出荷を約束している。

半導体業界全体も不安定化の兆しを見せており、一部アナリストはハイパースケールクラウド事業者によるAI投資の一時的な減速を予想している。これは、2024〜2025年に大量販売されたAIチップの需要が、企業のAI活用が想定規模に届かなかった場合に急減する「AIチップバブル」への懸念とも重なる。

サムスンにとって今後の課題は、Nvidia依存からの脱却、2025年末の量産を目指す次世代HBM4チップの開発加速、そして製造歩留まりの改善によるAIハードウェア分野での競争力回復にある。

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