欧州委員会は、欧州連合（EU）の人工知能（AI）法に関する実務規範（コード・オブ・プラクティス）の発表が大幅に遅れ、2025年末にずれ込むことを正式に認めた。これは当初予定されていた2025年5月の期限から大きな後退となる。
EUの画期的なAI規則への準拠を支援するために設計された実務規範は、2025年末にしか適用されない可能性があると、欧州委員会は木曜日に発表した。Google（アルファベット）、Meta、MistralやASMLといった欧州企業を含む主要テック企業は、実務規範の不在を理由の一つとしてAI法の施行延期を求めていた。
欧州委員会の報道官は「欧州AI委員会は実務規範の実施時期について協議しており、2025年末が検討されている」と認めた。委員会は来月、汎用AI（GPAI）に関する規則の施行を予定しているが、企業がこれらの規則に準拠するための主要なガイダンス文書の年内公表計画は、5月の期限から6か月遅れることになる。EUのテック担当責任者ヘンナ・ヴィルククネン氏は以前、8月までにAI実務規範を公表すると約束していた。
この実務規範は、汎用AIモデルの提供者向けにAI法のルールを詳細化し、AIの安全性や信頼性、透明性、著作権などのトピックをカバーする。「AIオフィスは、これらのルールを詳細化する実務規範の策定を支援している」と委員会は述べている。「この規範は、AI法への準拠を示すための中心的なツールとなり、最先端の実践を取り入れるべきだ」。
特に汎用AIモデルを開発するAI企業にとって、AI法の施行は追加のコンプライアンスコストやより厳格な要件を意味する。現在、多くの企業はガイドラインが未整備のため、どのように規則に準拠すればよいか分からずにいる。 委員会は今後数日中に実務規範を提示し、来月には企業が署名することを期待しているが、ガイダンスの本格的な適用は年末になる見込みだ。「AI法のGPAI規則について、欧州AI委員会は実務規範の実施時期を協議しており、2025年末が検討されている」と報道官は述べた。
この遅延は業界から強い反発を招いている。「この状況が生む不確実性に対処するため、主要な義務が発効する前にAI法の『2年間の時計停止』を提案するよう、委員会に強く求める」と、欧州の45社が連名で木曜日に公開書簡を発表した。 実務規範への署名は任意だが、署名しない企業は署名企業に与えられる法的な確実性の恩恵を受けられない。AI推進団体The Future Societyは、実務規範がAI規則の重要な一部となり、下流のユーザーやビジネス顧客が期待できる品質水準を明確にするものだと指摘している。
遅延にもかかわらず、AI法の汎用AIに関する規則は2025年8月に施行される予定だ。AIオフィスは引き続き実務規範の策定作業を進めており、これはAI法への準拠を示すための中心的なツールとなる見込みだ。