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EUの画期的なAI法、施行段階へ

2025年7月11日、欧州連合(EU)は包括的なAI法の主要条項の施行を正式に開始し、グローバルなAIガバナンスにおける重要な節目を迎えた。この規制は、汎用AIモデルや高リスク用途に特に焦点を当て、AIの開発と導入に明確な指針を示している。経済のほぼすべての分野でAI技術の統合が進む中、世界初の包括的なAIに関する法的アプローチとなる。
EUの画期的なAI法、施行段階へ

欧州連合(EU)は、2025年7月11日よりAI法の主要条項を施行し、人工知能(AI)規制において画期的な瞬間を迎えた。これは、AI技術に対する世界初の包括的な規制枠組みの実施を意味する。

AI法は、AIに関する初の法的枠組みであり、AIのリスクに対処し、欧州がグローバルリーダーとしての地位を確立するものだ。 本法は、AI開発者および導入者に対し、特定用途に関するリスクベースの明確なルールを定めている。また、AIイノベーションパッケージやAIファクトリーの設立、AI協調計画など、信頼できるAIの開発を支援する幅広い政策措置の一環でもある。これらの施策により、安全性、基本的人権、人間中心のAIが保証されるとともに、EU全体でのAIの普及、投資、イノベーションの強化が図られる。

施行は段階的に進められており、2024年8月1日の法施行を皮切りに始まった。2025年初頭から最初の実質的義務が適用され、今回の節目では、汎用AI(GPAI)モデルに対する広範な義務や新たなガバナンス体制が2025年8月2日より発効する。特に国境を越えて活動するAI開発者、提供者、導入者にとって、準備段階から実装段階への大きな転換点となる。

この段階では、欧州AIオフィスおよび欧州人工知能委員会(EAIB)が設置され、加盟国間での施行・調整を監督する。また、各国の担当当局も同日までに指定されなければならない。 特に大規模言語モデル(LLM)を提供するGPAIモデル事業者には、透明性、文書化、著作権遵守などの新たな横断的義務が課される。システミックリスクをもたらすと判断されたGPAIモデルには、リスク軽減、インシデント報告、サイバーセキュリティ対策など、追加要件が適用される。

業界からの反発にもかかわらず、欧州委員会は施行スケジュールを維持している。2025年7月3日、ロイターは企業が条項の一時停止を求め、一部政治家からも支持を得ていると報じた。「この状況が生み出す不確実性に対処するため、主要義務が発効する前にAI法の2年間の『時計停止』を提案するよう要請する」と、欧州の主要45社が欧州委員会に送った公開書簡には記されている。しかし、欧州委員会はこの要請を却下し、予定通り施行を進めると表明した。

汎用AIモデルに関する規則は2025年8月2日に発効するが、それらを執行する権限は1年後の2026年8月2日から始まる。この日以降、違反した場合は最大1,500万ユーロまたは全世界売上高の3%(禁止行為の場合は最大3,500万ユーロ/7%)の行政罰金が科される。 EUの規制アプローチは、イノベーションと基本的人権の保護のバランスを目指しており、グローバルなAIガバナンスにも影響を与える枠組みとなる可能性がある。

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