Googleは、最先端のAI動画生成技術「Veo 3」の利用範囲を拡大し、2025年7月29日より一部のGoogle Workspace顧客向けに提供を開始しました。このエンタープライズ向け展開は、2025年5月のGoogle I/Oで初披露されてから約2か月後のリリースとなります。
Veo 3は、映像のみならず同期された音声も自動生成できる点で、AI動画生成技術の大きな進化を示しています。ユーザーはリアルな物理挙動や正確なリップシンクを体験できるほか、都市のシーンでは交通音、公園では鳥のさえずり、キャラクター同士の会話など、状況に応じた環境音もAIが自動生成します。
この技術はビジネスユーザーに創造的な柔軟性を提供し、日常的な物体のアニメーション化やイラストの動画化、静止画像への動きの追加などが可能です。エンタープライズおよび教育分野のユーザーは1日3回まで生成可能ですが、Google AI Ultra for Businessアドオンを利用する場合は1日5回まで利用できます。インターフェース上では、利用上限が近づくと警告が表示されます。
現在、Rapid ReleaseおよびScheduled Release両ドメインで順次展開中です。Geminiアプリを利用するGoogle Workspace Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Gemini Business/Educationアドオン契約者が対象となります。なお、Veo 3は現時点でウェブブラウザおよびGeminiモバイルアプリからのみ利用可能で、18歳以上のユーザーに限定されています。
Geminiアプリとの連携に加え、Googleの動画作成アシスタント「Google Vids」でもVeo 3を使った動画クリップ生成が可能です。Google Vidsの利用対象は最近拡大され、Google Workspace Business StarterやEnterprise Starterの顧客も利用できるようになりました。ユーザーはプロンプトを入力するだけで、リアルな音声付きの高品質な動画クリップを簡単に作成でき、安全研修用動画や特定の場所でのスポークスパーソン登場シーンなどの制作が容易になります。
Veo 3は物理シミュレーション、リアリズム、プロンプトへの忠実さにおいて業界最高水準の品質と評価されています。また、動画と完全に同期した音声生成を実現している点で、他のAI動画生成ツールとの差別化を図っています。
生成AIのエンタープライズ導入が加速する中、今回のリリースによりGoogleはAI動画生成市場での競争力を強化し、専門的な技術知識がなくてもビジネスパーソンが高度なコンテンツ制作ツールを利用できる環境を整えています。