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専門家、AIによる10代ユーザーへの悪影響防止のためのガードレール設置を提言

2025年6月に米国心理学会(APA)が発表した包括的な報告書によると、人工知能(AI)が青少年に与える影響は複雑かつ多面的であることが明らかになった。同報告書は、AI開発者が若者を搾取や操作、現実世界の人間関係の希薄化から守る機能を最優先すべきだと強調している。心理学者らは、適切な安全策が講じられなければ、10代がAIシステムと不健全な関係を築いたり、有害なコンテンツにさらされたりする危険性があると警鐘を鳴らしている。
専門家、AIによる10代ユーザーへの悪影響防止のためのガードレール設置を提言

米国心理学会(APA)は、人工知能(AI)が青少年の発達とウェルビーイングにもたらす機会とリスクの両面を強調する重要な健康勧告を発表した。

「人工知能と青少年のウェルビーイング:APA健康勧告」と題された本報告書は、AIが本質的に有益でも有害でもなく、青少年の安全を確保するためには慎重な実装が必要であると指摘している。報告書の作成を主導したAPA主任心理学者のミッチ・プリンスタイン博士は、10代がAIチャットボットと危険な関係を築くケースが見られることに懸念を示した。時に、若者自身が相手が人間ではなくAIであることに気付かない場合もあるという。

「すでに、青少年がチャットボットと不健全、さらには危険な関係を築いてしまう事例が報告されています」とプリンスタイン博士は説明する。「一部の若者は、自分がAIとやり取りしていることすら認識していない場合があり、だからこそ開発者が今すぐガードレールを設けることが不可欠なのです。」

この勧告では、擬似的な人間関係との健全な境界設定、年齢に応じたプライバシー設定のデフォルト化、有害コンテンツへのアクセス制限、青少年のデータプライバシー保護など、複数の重要な提言が示されている。特に、若年ユーザーとやり取りするAIシステムには透明性や人間による監督、厳格なテストが求められると強調している。

大人と異なり、青少年はAIシステムから提供される情報の正確性や意図を疑うことが少なく、操作されやすい傾向がある。その一方で、適切に設計されたAIは、ブレインストーミングや創造、情報の統合支援など、学習や記憶の定着を促進する有益な教育的効果ももたらし得ると報告書は指摘している。

APAの報告書は、ソーシャルメディアの普及時に安全性への配慮が後手に回った過去の失敗から学ぶべきだと関係者に訴えている。「ソーシャルメディアで犯した有害な過ちを繰り返してはなりません」と報告書は述べ、AIリテラシー教育を全国・州レベルの指針のもとでカリキュラムに組み込む包括的な取り組みを提唱している。

AIが日常生活にますます深く浸透する中、本研究は、開発者、教育者、政策立案者、保護者が協力し、AI時代を生きる若者のためにより安全なデジタル環境を構築するよう呼びかける、時宜を得た警鐘となっている。

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